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キウイノート:ライターきゅーいんがむが日々あったことを綴っていくブログ。

玄関から見える景色を五感で感じて書いてみた

 

こんにちは、きゅーいんがむです。

文章に関する本として、最近は「文章の書き方」という本を読んでいるのですが、その本に出てきた感覚の話が印象的だったので、私も五感を使って目の前の情景を感じ、文章にする練習をしてみたいと思いました。
(本はまだ読み終わってないのですが、現時点で既に勉強になる素晴らしい本なのでそのうち紹介したいです)


ちょうど最近、毎日朝と夕方の2回、家の外に出て深呼吸するという習慣が身についたので、この深呼吸タイムでさっそくやってみました。

普段だったら、玄関から外に出て、深呼吸をして、「今日は天気がいいなー」とか、「どんよりしてるなー」とか、あったかいとか寒いとか、それくらいしか特に考えずにまた家の中に戻るのですが、今回は五感を使うということで、五感のそれぞれに意識を集中して、景色をよく観察してみました。

そして一通り観察した後、部屋に戻って、観察したことを書き出してみました。

 

以下、少し長いですが、部屋に戻って一気に書いた観察メモです。

視覚

今日はグレースケールみたいな外だった。
視界のすべてに靄がかかっているみたいな。


うちのゴールドの車がいつもよりくすんでいた。ゴールドはゴールドなんだけど、黄金色というより黄土色に近いような。
メタリックな部分もやや黒く輝いていた。輝いてはいるのだけど、少し暗くて、曇っていて。

空は曇っていたのだけどそれでも光の影響というのはあるらしく、右手にある物置の色は前面と側面で色が違っていた。側面の方が影になっていて、暗いアイボリー。前面は気持ち明るいアイボリー。

奥のマンションの前にも車が一台停まっていた。
左右にコーンがあって、だから恐らくは駐車スペースなのだろうけれど、車は一台しか停まっていなかった。
白い車で、こちらからは正面だけが見えて、あとはナンバープレートが黄色いのだけが見えた。番号は見えない。左右のコーンは右側だけが少しスペースが空いていた。

その遠くに見える車の半分の高さくらいのところに白い枠の窓があった。少し上にもうひとつ、同じ窓。その上に屋根があって、屋根のすぐ上には木々が見える。実際はずっと遠くにある木々だけれど、遠近法で見ればすぐ上にある木だった。色は濃い緑。

木々は細長く広がっていて、わたしの視線というキャンバスの6分目くらいにポツポツと濃い緑が並んでいた。たぶん、クレヨンで描いたくらいの太さ。でも輪郭ははっきりとしている。

その上は今度は剥げた冬の木々が広がる。色は茶色をすごく薄めた色。その上にはわずかに白も見える。まだ雪が残っているのだ。
でもその上がずっと白というわけでもなく、また上には茶色の木々があり、一番てっぺんはまた濃い緑色の木々になっている。

てっぺんの木々はギザギザしていて、また高さもバラバラに並んでいて、全体的にはゆるいでこぼこのカーブを描いていて、恐竜の背中のようにも見えた。見えないけれどずっとずっと左の方には顔があって、今は眠っているだけである日突然動き出したりするのかもしれない。

 

聴覚

ただ車の音が聞こえて鳥の声が聞こえるだけだと思っていたけれど、目を閉じて耳を澄ませると、色々な音が聞こえてきた。
車の音も、右耳から入ってきて、左耳に到達する前に消えていくものや、うんと小さくなって左耳に入る音もある。よく聞く自動車の音から、重機のようなエンジン音まで、色々な車の音がする。

鳥のさえずりは、ピチチチ、だけだと思っていたのに、ピチチチ、ピチ、ピチチ、ピチチチチ、と細かく音を変えながら、そして羽ばたきながら去っていく。きっとこの些細な音の違いで、彼らは信号を送り合ったり、上手く呼吸を合わせたりしながら生活しているのだと思う。

両手を上に伸ばし、頭の真上で手を組むと、作られた円を風が吹き抜けるビュオッという音が微かに聞こえた。
ほとんど風が通ったという感触はしないのだけど、挙げた腕を囲むように冷気が襲い、冷気が腕の形をしているようだった。

 

嗅覚

元々嗅覚は良くないので、今日の空気は好きじゃない空気だな、ということだけわかった。
何故好きじゃないのか、このにおいは何のにおいなのか、予想しようとしたけれどわからなかった。
ただくぐもっている感じはした。ガスのにおいが混じっているから、あるいは全体がどんよりとしているから、不快に感じたのかもしれない。

 

触覚

家の壁に触れると、ひんやりした感触がした。階段を降りて砂利を踏むと、砂利の名の通りジャリジャリした感触がした。

本当にジャリとしか感じないのかなと疑問に思い、ちょっと尖った石の上に足を置いてみる。
微かにごつっという感触が土踏まずにあった。すごい、土踏まずって踏まないはずなのにちゃんと地面を感じてる。土踏まず仕事してる。えらい。

ゴールドの車に触れると、重いプラスチックに触れているみたいだと思う。小さく車の背の部分を叩くと、コン、という軽い良い音がした。
こいつがわたしたちを遠くまで運んでくれるのが信じられない音だ。でもなんとなく、奥には深みのあるようなコン、だったので頼りになるような気もした。

 

味覚

これも調べようと一瞬思ったけど、さすがに壁を舐めたり石を食べたりはできなかったので思いとどまった。
味覚もあまり良くないので、料理とかで鍛えていきたい。

 

という感じで、少し観察しただけで、個人的に色々な発見がありました。
山の色合いは上が薄い色で下が濃い色なのかなって思っていたら違ったり、一羽の鳥のさえずりにもたくさんの種類があったり、軽いだけじゃないコン、の手ごたえを感じたり。

でも、個人的に一番びっくりしたのは、少し集中するだけで気付くたくさんのことに、これまでずっと気がついていなかったということでした。
囚われていないようでも、案外自分の中にはたくさんの固定観念があったことがわかったので、もっと広い目や耳を持って日々ものごとに向き合い、豊かな文章が書けるようになりたいです。