ライターですが『アクタージュ act-age』という役者漫画に救われたので魅力とお気に入りの台詞を紹介します
こんばんは、もうすぐライターの仕事をはじめて4年目になります、きゅーいんがむです!
今日はこれまで何度も書こうと思いつつ書くタイミングを逃してきた推し漫画『アクタージュ act-age』について書きたいと思います!
※記事中に一部物語のネタバレを含む可能性があります。
※私個人の視点での漫画の紹介文・感想文ですので、公式/他の方の見解や解釈とは異なる場合があります。
※推し漫画なので推しまくってますが公式・作者様とは無関係です。記事中のリンクもアフィリエイトではありません。
『アクタージュ act-age』とは?
週間少年ジャンプで連載中の漫画で、ジャンプとしては異色の役者漫画・女性主人公の作品。
特殊な才能を持つ役者の卵であり原石・夜凪景(16)が役者として成長していく物語です。
現在4巻まで発売中で、5巻は2/4発売予定なのですが、初めての方にはとりあえず3巻まで読んでほしい作品です!
(理由としては、初期の主人公(夜凪景)が台本を無視したり、他のキャストに跳び蹴りをしたりと自由な行動を繰り返していたので、その点で賛否両論になりがち、というのがあります。私はこの頃も好きですが、役者仲間が出てきてから物語に幅が広がってより面白くなったため、1巻後半~3巻までの映画「デスアイランド」編までの一気読みがおすすめです!)
『アクタージュ act-age』の魅力
キャラクター一人一人が"リアルに生きている"ところ
物語の主人公・夜凪景は独学で”メソッド演技”を極めている才能ある少女です。
しかし、彼女のメソッド演技は物語開始時点では”伝わる人にしか伝わらない”才能。
役にハマれば誰よりも説得力がある本物の演技ができる一方で、役に入り込みすぎるあまり一瞬で表情が変わることを妹に怖がられたり、「すごい才能だけど、役者として生きても幸せになれない(入り込みすぎて精神を病んでしまう)」と言われたりしてしまいます。
主人公はこの複雑な評価を受け、悩んだり、才能と表裏一体である欠点と戦ったりして成長していくのですが、
天才がただ”天才キャラ”として描かれるのではなく、周囲から様々な評価を受け、葛藤しながら不器用に成長していくというのが、一漫画のキャラクターというよりも、リアルに存在し生きている一人の人間のようでとても好きです。
また、主人公だけでなく、他のキャラクター一人一人にもそれぞれのドラマがある、という点も魅力的だと思っています。
主人公以外では、たとえば、
- イケメンで金持ちで人気だけど周囲に”親の七光り”と揶揄されており、それをどうにかしたい(自分の実力を周囲に認めてほしい)男の子
- 人に見られていることを意識し出した瞬間から急に人に素顔を見られることが怖くなり、完璧な仮面を作り上げ自分を演じはじめた、ということをきっかけに若手トップ女優となった女の子
などが登場するのですが、彼らも単なる"金持ちのイケメン"や"完璧なトップ女優"ではなく、それぞれのドラマを持っていて、それぞれの悩みを抱えていたりするところが好きです。
物語の構成・演出、ダイナミックなコマ割、引き込まれる作画
漫画としては、物語の演出や構成、作画が素晴らしいと思っていつも読んでいます。
見開きの大きなコマで映画の中や舞台の中の世界を描いてくれるので、本当にその映画や舞台を間近で見ているような(その世界に入ったような)気持ちになります。
それから、魅力を語る上で外せないのが絵の美しさ。
原作と作画(漫画)は別の先生が担当しているのですが、作画を担当されている宇佐崎しろ先生の絵が本当に綺麗。
コミックスの表紙なんか綺麗すぎて並べるだけでテンションが上がります。
また、主人公達が芝居をするシーンなどでは、台詞だけでなく表情だけで魅せるシーンもあり、そのシーンの感情が本当に絵だけで伝わってくるのがすごいなあといつも思っています。
役柄を演じるためにキャラクターの髪型や表情などが変わるときも、本人の面影を残しつつも別人っぽい表情に変わったりするので、絵もとても魅力的な作品だと思います。
私が『アクタージュ act-age』にハマった理由
私は幼少期から思考や行動がマイノリティ(少数派)寄りで、周りの子たちと話が全然合いませんでした。
でも、悪いことをしているわけでもないのに自分を曲げて人に合わせるのも変だし…と思っていたので、友達の輪に入ることもないまま一人で過ごしていました。
そんな時代があったというのもあって、第一話を読んだとき、人と違う存在であり、なかなか他の人のように普通の存在になれない不器用な主人公に、妙に共感したんですよね。
役者でも特別な才能を持っているわけでもないんですけど、直感的に「この子は私だ」って思ったんです。
違う部分はたくさんあるんですけど、なんとなく似ているな、と思って。
この子がどこか自分に見えて、そんな別の世界に住んでいる”自分”がどこに進んでいくのか追いかけたいと思って…そして追いかけているうちに、私自身たくさんのことをこの物語で学んで、たくさんの台詞に救われました。
そう、魅力の部分に書き損ねたんですけど、リアルに生きているキャラクター達が良い台詞をいっぱいしゃべるんです。
というわけで(?)私が救われた台詞をいくつか紹介します。
『アクタージュ act-age』で個人的に救われた台詞
①
「俺達はそういう悔やみだらけの金で生きていかねぇとなんねぇんだよ!」
(scene6."スターズの天使"/コミックス1巻154ページより)
指定された通りの芝居ができなかったためにギャラを受け取りたくないと駄々をこねる夜凪に黒山監督が言った台詞。
「その金は歯食いしばって使えよ!!それがプロってもんだ!!」と続くんですが、小さなコマにちょこっと書いてあるだけの台詞なのにめちゃめちゃ刺さりました。
仕事柄、〆切に間に合わせるためにクオリティに拘りきれないまま原稿を提出しなきゃいけないこともあるんですけど、そのたびに「この原稿で本当にお金もらっていいのかな…」と悩んでいました。
それが、この台詞と出会ってから、「歯を食いしばりながら受け取ろう、使おう」と思えるようになりました。
「この悔やみだらけのお金をあえて受け取って糧にして、次からは悔やまないように頑張ろう」
悩んだときにそう答えを出せるようになった、個人的にとても大切な言葉です。
②
「私は私のまま 天使みたいになる」
(scene11.顔合わせ②/コミックス2巻82ページより)
撮影現場で失敗ばかりする中で女優・百城千世子(愛称:天使)と出会った主人公・夜凪景は、「千世子みたいにならないとこの先上手くいかない」と言われるも、千世子がなりたい自分とは全く異なるタイプであるため困惑します。
そんな「自分を貫き失敗するか」「自分を曲げてでも成功を目指すべきか」の2択を迫られた夜凪が悩んだ末に出した結論が「私は私のまま 天使(=百城千世子)みたいになる」です。
私は今と違う書き方、違うやり方をした方が文章を速く書けたり、人気が出たり、売れたりするかもしれない、と思うことがよくあるんですけど、
今の非効率なやり方以外で自分らしい文章が書ける気がしないので、あえて今のやり方のまま文章を書き続けています。
でも、やっぱり「もうちょっと速く書けたらなあ」と思うことは多いので、「自分らしさにこだわってる場合じゃない、もっと現実を見ろ!!!!」と自分に言い聞かせた方がいいのかなあと思ったりもします。
そうやって悩み始めたときに思い出すのが「私は私のまま 天使みたいになる」という台詞。
この話の夜凪を見てから、私も「自分らしさと成功(速く書くこと)、どちらも諦めずに自分に合った方法を見つけよう」、そう自分を奮い立たせることができるようになりました。
③
「役(たにん)は喰える 役(たにん)との壁を作っているのは常に自分自身」
(scene32.私のカムパネルラ/コミックス4巻147ページより)
自分の過去の体験を思い出すことでリアルな演技ができていた夜凪は、舞台で「自分自身と性格も性別も異なる他人」を演じることになり役作りに迷います。
そんなとき、夜凪はある人物に救われ(この辺りは重要なネタバレになりそうなので割愛します)、「壁さえなくしてしまえば、役(たにん)は喰える(=自分のものにできる)」ことを学びます。
私は仕事で、たまにですが「40代・九州在住・妻子持ちで野球観戦とお酒が趣味の男性をターゲットにした記事を書く」みたいな、自分とかけ離れた人をターゲットとした文章を書くことがあります。
記事を書くときは基本的にターゲットをイメージしながら書くのですが、ここまで何もかも自分と違う人がターゲットだとイメージがわかず、挫けそうになることもあります。
でも、「他人は喰える」と自分に言い聞かせることで、自分とかけ離れた人向けの記事でもなんとか自分の中でターゲットを自分のものにし、記事を書こうと思うようになりました。
挫けそうなときに救われた言葉です。
『アクタージュ act-age』に救われ、『アクタージュ act-age』で一喜一憂する日々
そんなわけで救われまくっていたり、演出すごいなあと感動したり、キャラが可愛いなあと思ったり、次週の展開を予想して外したりと
週一の楽しみがライター生活の活力となっています。
また、『アクタージュ act-age』にハマってからというもの、地元の小さな本屋でコミックスの入荷数をカウントしたり、毎週感想メモを書いたり、ジャンプの掲載順に一喜一憂したり、この子はきっとこの子のことをこう思ってるんだろうなあと妄想したり、急に人気が上昇してキャンペーンが開かれはじめたのを見て何故か子供が一気に大きくなったようなちょっとだけ寂しい気持ちになったり、「きっとこの先アニメ化やドラマ化して声優や俳優が思っていた感じの人と違うって謎に怒ったりがっかりしたり、全部追いかけられない程遠くまで人気が広がって、それを悔しがったりするんだろうなあ」なんて未来を想像して楽しんだりしています。
連載当初はそもそも打ち切り寸前だったので、もう続いてるだけで嬉しいし知ってくれる人がいるだけで嬉しい。
ジャンプっぽくはない作品ですが、創作活動をしている方や内向的な方や人間ドラマが好きな方、好きなキャラクターを見つけたり応援したりしたい方も楽しめると思うので、当てはまりそうな方はまずは3巻まで読んでみてください!
いきなりそれはちょっと…という方は↑の「冒頭を試し読み」から各巻の冒頭の1話を丸々無料で読めますので、こちらだけでも読んでみてくださると嬉しいです!